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今夜の番組チェック
ねこばなし2
Episode67 風日の朝
風日の一日は猫を掻く事から始まる。
入院その他の時の為に慣れてもらおうというのと、放っておくと夜中じゅうドタドタ走り回ってうるさいので、みやびとイッパイアッテナは夜間はケージに入れている。
うちの旦那は朝、風日より15分早く起きて、猫達をケージから出し、ジョギングに行く。すると大抵はまずイッパイアッテナが枕元にやって来て、
「うにゃん、うにょん」となく。
眠いので無視していると冷たい鼻面が顔に押しつけられたり、耳の穴に口をくっつけるようにして鳴かれたりする事が多いので、根負けして、布団から手だけだして頭を掻いてやる。だるくなってやめようとすると頭をグリグリ押しつけてきて、「もっと!」とせがむが、ほとんど頭づき。余程お腹が空いているらしい時は2〜3度かりかり掻いてやると、エサを食べに走って行く事もあるけれど。
ふと気付くとみやびが傍でじっとこっちを見ている。
ごく稀に顔のすぐ横に座っていてびっくりさせられる事もあるけれど、大抵は布団の外。
上半身を起こすと、トンッと布団に飛び乗って(すのこベッドの上に敷いているので少し高い位置にある)おもむろにグーッと伸びをしたり、私の周りをグルグルまわったりして存在をアピール。で、掻き始めるとつつつっと身体が離れていったりする。ちょっと前まではそれでも一生懸命手を伸ばして掻いてやっていたのだが、最近は掻くのをやめる。
だって、しばらく躊躇した後また近づいてくるようになったから。
そうこうしている間にイッパイアッテナが戻ってきて膝の上にのったりするので、両手で猫を掻く。
こういう風にして旦那がジョギングしている30分のうち約半分が猫達の為に費やされ、残り15分程で慌てて朝食の支度をする風日だった。
Episode80 顔くらべ
みやびの顔にはお公家さんまゆ毛がある。
彼女の顔の上半分は白くないのでぱっと見ただけではわからないけれど、両目の少し上のところに筆で描いたような黒い点がちょんちょんと居座っている。それがひどく人間くさい雰囲気をかもしていてとてもかわいい。
「動物のお医者さん」というマンガに「犬の口にはゴムパッキンがついている」という一文があった。
みやびの口にもついている。なんの事はない、毛がなくなって口になるところ、人間で云えばくちびるにあたるような部分が黒い線になっていてゴムパッキンのように見えるだけなんだけど。
イッパイアッテナの唇は薄桃色なのであまり、ゴムっぽっくない。
イッパイアッテナの耳は毛が薄くて、肌のピンク色が透けて見える。毛が白いせいもあるだろう。アメリカンカールの血をひいているせいで、少し内側にカールしてもいる。耳の中から長い毛が何本もはえていて、耳そうじの時とてもじゃまだ。
イッパイアッテナは慢性の外耳炎をかかえているので、どろっとした膿のようなものがとれるのだが、せっかく綿棒でかき出した膿がその毛に再付着したりする。だいたい綿棒をつっこむのだって、その毛を指でよけておいてやらなければならない。
イッパイアッテナの鼻はピンク。みやびは上半分が黒、下がピンク。ちょっと残念なのはみやびの肉球が黒い事。ぷにゅぷにゅ押して遊ぶなら、やっぱりイッパイアッテナと同じピンクの方がかわいいと思うんだけどな。
Episode82 耳かき
新しい耳かきを買ってきた。
売り場にぶら下げられるように包装されたやつ。パックを開けようとゴソゴソし始めた段階でイッパイアッテナがとんできた。イッパイアッテナは何かを袋から出そうとすると必ずといっていいほど、慌ててかけよってくる。
「残念でした。これは君のおもちゃでもごはんでもないよん」
という科白は彼にとっては嘘になってしまったようだ。早速、耳のかき心地を試そうとした私は、突然イッパイアッテナの攻撃を受けた。
耳かきの先についているフワフワ。それは彼にはおもちゃ以外のものには見えなかったらしい。
そういえば、前使ってた耳かきはイッパイアッテナとみやびが噛みちゃんこにして丸坊主にしてしまったんだった。しばらく耳かきでイッパイアッテナをじゃらしているとみやびもやってきた。
しかし、これはとても危険な遊びだ。
なぜなら耳かきの柄はとても短いので、遊んでいる間に誤って手に猫パンチをくらう可能性が高い。爪がでているとひどい目にあう。もう少し丈夫なものなら投げて遊ぶとか、ひもの先につけるとかできるけど、耳かきの綿毛ってすぐ抜けちゃうからねェ。毛がなくなると遊ばなくなるし。
とか云いながら、綿毛を食いちぎられないように気をつけつつ、耳かきで猫をじゃらす私。
でも肝心の耳掃除に使おうとするとやっぱり2匹に襲われそうになるので、窓辺や猫がのれそうな台から離れた場所で立ったまま耳掃除をするこの頃。
だけど足下でじっと耳かきの動きを目で追っている2匹もかわいいよ。
Episode87〜91 みやびの災難
おかしい。何かおかしい。
今朝は何かがいつもと違う。
隠れなきゃ!
「みやびー。みーちゃん、みいにゃんにゃん」
ほら、やっぱり。お母さんが猫撫で声で呼んでる。クローゼットの隅、机の下、ロフト……。お母さんだけじゃなくてお父さんまで私を捜し回ってる。
「おった!」
わ――っ、みつかっちゃったぁ!
「どこ?」
「寝室のカーテンの陰」
「わかった、ほな、そこのドア閉めて。さ、みいにょん、ここ入り」
ヤダ! 嫌、嫌だってば……私そんなとこ入りたくない。でも、ああん、追いつめられると狭い所に入りたくなっちゃうのよねェ。あ、入っちゃった。
「自分で入ったん、エエ子やなァ。イッパイアッテナ、アンタも入り」
えーっ、イッパイアッテナもォ? コイツおっきいからバスケットの中でつぶされちゃう。ムギュ。ほらね、すんごく苦しい。お母さんがフタを閉めたバスケットを持ち上げた。えーん、お家から出るの、怖い。怖い怖い、怖いんだってば!
あーっ! 出ちゃったァ、嫌いやァ! 車なんか乗らないーっ。ほらぁ、車の中にケージまで積んでる。お医者さん行ってすぐ帰ってくるだけですらないんだ。
「ほら、出なさい」
お母さんがバスケットのフタを開けてケージの中に入れって云ってる。嫌よォ。私は狭い所の方が落ち着くんだからァ。
「ほら、ちゃんと寝袋いれたってるから、こっちはいっとり。な、こっちの方がバスケットより居心地エエやろ?」
なんて云われたって嫌よ。お母さんってばみやびがこんなに震えてるのに気がつかないの? みやびのことかわいくないんだ? このままバスケットの中にいて、お家に帰るのォ! 大阪なんか行かないんだからァ。
いや――っ!
お母さんったら強引に私の首根っこをつかんでバスケットから引っぱり出しちゃった。しょうがないから目の前にある猫用寝袋にもぐりこんだ。
「ほら、イッパイアッテナ、アンタも」
とにかくお外が怖くて寝袋の一番奥に潜り込んだ私の後からイッパイアッテナが入ってきて、グイッと身体を横にして私の上にのっかるように寝そべった。
「イッパイアッテナ。アンタ、まるっきりサザエのフタやな」
笑い事じゃないわよ、お母さん。これじゃ私、身動きひとつできないじゃない。
不愉快な音と振動がずっと続いてる。
排気量の小さい車だからうるさいんだってお母さんが云ってた。2台分でみやびやお母さん達の住んでるお家が買えちゃうような高級車ってやつだと、エンジンが二重になって中にぶらさげてあるからもっとずっと静かなんだって。そういうの買ってくれればいいのに。
イッパイアッテナは寝袋から出たり入ったり。しかも大抵はヤドカリみたいに身体の後ろ半分だけ寝袋の中に入れたまま、
「お腹空いたー。喉渇いたー。退屈だよー。かまってよー」
って云い続けてる。これもうるさい。トンネルに入ったりして、まわりの音が変わると
「何なに何? この音なに? 大丈夫? 大丈夫なの? ねェねェ、これ怖くないの?」
って騒ぎまくるし。
「抱っこしてよ。抱っこしてよ。お母さんそこにいるのにどうして抱っこしてくれないの?」
とかさ。
どうしてあんなに鳴き続けていられるんだろ? 喉がかれちゃったって知らないから。おまけにしょっちゅう私の身体の上を踏んづけるし。
私だってお腹空いたし、喉も渇いたし、ずっとじっとしてて身体痛いし、おトイレだって行きたいのに……。ただこんな所で寝袋から出るのが嫌でずっと我慢してるのよー。
ああ、もうっ! ホントやんなっちゃう。
8時間もそうやって我慢し続けた後、ケージが開く音がしてお母さんがイッパイアッテナをバスケットに移した。
「みやびも入れる?」
「このまま行こ」
え?
あ――っ! お母さんが私が入ったまま寝袋の口を巻き込んで抱きかかえちゃった。
「いらっしゃい」
「またこの子達がお世話になります」
なんだか聞いたことがあるような、でも馴染みのない声がお母さんとお話ししてる。
「さ、ついたで」
バスケットのフタを開けてもらったイッパイアッテナは早速お母さんの膝にのってゴロゴロ云ってる。でも私はこんなところでお外に出る気はありませんからね。
あ、イッパイアッテナがごはん食べてる。
「みやびさん、ごはん食べないの?」
お母さんが寝袋の入り口を持ち上げてのぞき込んだ。お腹なら空いてるわよ! でも、こんなよく知らない所でごはんなんて食べられない。
「ほなね、賢くしとくんやで」
え? やだ、お母さん行っちゃうの? こんな所にみやびをおいて?
ふえ〜ん……
どーしていっつもこうなっちゃうの? こうなったら仕方ない。お家につれて帰ってもらうまで何日だってこの寝袋の中にたてこもってるんだから……
と、いいつつ――人間はみんな寝ちゃったみたい……
おトイレにも行きたいし、まわりも暗いし……
出ても大丈夫かな?
そーっと、そーっと……
ふ――っ……ああ、すっきりした。すっきりしたらなんか腹がたってきた。なんで私がこんな目にあわなきゃならないの? ああっ、むかつく!
ザコッザコッザコッ……
あ、腹立ち紛れにトイレの砂をかき回したら粒が飛び出しちゃった。いいや、今日一日みやびがこんなにつらい思いをしたのにお父さん隣で気持ちよさそうに寝てるなんて許せない!
ザコッザコッザコッ……
フンッ! 少しはすっきりしたわ。
ごはん食べて、お水も飲まなきゃ。それにいざという時に隠れられるように少しは探検もしとかないと。でもこの部屋、前来た時には家具の後ろになんとかみやびが隠れられるくらいの隙間があったのになくなっちゃってる。どーしたらいいのかな?
うにゃにゃにゃにゃ……
イッパイアッテナが鳴きながら走っていった。3日もどこかに行っていたお母さんが戻って来たんだ。そのどこかっていうのはお母さんのお母さんの所なんだって。今みやび達がいるのはお父さんのお母さんのお家。
ゴロゴロゴロ……
イッパイアッテナの喉音ってすごく大きい。赤ちゃんみたいにお母さんに抱っこされて、なんだかみっともないって思うけど、ちょっとうらやましくもあるかな?みやび、お母さんの手に触ってもらうのは好きだけど、抱っこされるとどこか嫌な所に連れていかれそうで怖いの。
半年に一回っていってももう何度かここに来ているし、着いてから3日もたってるんで今はみやびもケージの中で寝袋から出てる。猫をケージに入れるって可哀想って思ってる?
みやびも最初入れられた時はなんでこんな事するの? ってすっごく嫌で「出して出してー!」って随分あばれたけど、今はこの中が一番落ち着くの。
だから、お家にいる時もお客さん(知らない人ってすっごく怖いんだもの)が来たりするとケージの中に逃げ込んだりするんだよ。昼間はドアが開けっ放しだから。
そんな訳であんまりよく知らないこのお部屋にいる今はお外が明るい間はケージから出る気がしないの。イッパイアッテナでさえお父さんのお母さんや弟さんなんかが起きている間はこのお部屋からあんまり出ようとしないしね。
あ、電気が消えた。お母さん達、もう寝るつもりなんだ。ホントに寝ちゃう前にちょっと掻いておいてもらおうかな? おばあちゃんも叔父さんもいないか寝てるみたいだし。
よいしょっと……
ケージから飛び降りてお母さんの顔の横に座った。気が付いてくれない。後ろ足でちょっと首を掻いて首輪に付いている鈴を鳴らす。みやびはイッパイアッテナみたいに厚かましく頭を押しつけたり、耳元でうるさく騒いだりはしないの。たいていはお母さんが気付いてくれるまで黙ってじっと待ってるか、お母さんの目に入るようにまわりをグルグル回ってるの。
目を開けたお母さんが首や耳の後ろ、お腹なんかを掻いてくれる。とっても気持ちいいから思わずゴロンゴロン転がっちゃう。うーん、3日ぶりの快感!
ああ、早くお家に帰りたいよー。
もう、いやー!
今日は朝早くからお父さんがケージを半分のサイズにしちゃって玄関先まで持ってっちゃった。みやびがいるところがなくなっちゃったよ。
しかも、それだけじゃなくってなんだかバタバタして落ち着かないの。
部屋の隅に置かれた寝袋に潜ってずっと震えてるのに、お父さんったらすごく忙しそうにしてちっともみやびの事気遣ってくれないし。
あれ? お母さんの声だ。
朝からのドタバタでさすがに不安になって隣の部屋の仏壇の上に籠城してたイッパイアッテナがうにゃうにゃ云いながら降りてきた。と、思ったらバスケットに入れられちゃう。
うにゃうにゃ、ゴロゴロがニャーニャーいうかん高い鳴き声になる。久しぶりに会ったのにどうして抱っこして撫でてくれないの? って、すっごくうるさい。
あ、部屋から出ていった。
5分としないうちにお母さんが戻ってきて寝袋ごとみやびを抱き上げた。エレベーターに乗ったりお外を歩いたり。やっぱり寝袋ごと車の中のケージに入れられて、先に車に入れられてバスケットの中で「お母さん、お母さん」って鳴いてたイッパイアッテナが、ケージに移されてのしかかってくる。
振動と騒音――
おまけに今度は雪だ地震だっていって来た時よりずっと時間がかかってる。
「もうすぐやからなー」
ってお父さんが云って、もうすぐ、もうすぐっていつよ?むこうの部屋にいる時からだから私は12時間近くもずうっとこの寝袋の中にはいってるのよ、なんて思っていると、イッパイアッテナが寝袋の隣においてあるおトイレにはいってうんこした。
「くさー!」
お父さんが云って車の窓を開ける。
「うわー、寒いよー、寒いー! 寒いったらァ。寒い寒い寒いィっ!」
イッパイアッテナがさわぎまくった。うるさいんだから、まったく。「寒いんは、こっちや」って云ってるお父さんに、お母さんが「あと5分程の辛抱や」云って、窓を閉めた。
イッパイアッテナなんかほっときゃいいのに。みやびは寝袋の中にいるから割と平気なんだから。
「着いたでー」
えっ、ホント?
お母さんがイッパイアッテナをバスケットに移して、みやび入りの寝袋を抱きあげる。階段あがって、玄関のドアがガチャンっていって……
ああっ! おうちだー!
寝袋から出たみやびはうれしくって、すぐにおうちの奥まで走っていってここが玄関だけそっくりな偽物じゃなくって、ホントのおうちなんだって事を確かめた。ああ、これでやっと半年に一回の災難が終わったんだ。バンザーイ!
Episode99 衣替え
とうとうきたかー。
フワフワと宙を舞う白い毛を見て思った。イッパイアッテナの背中をガシガシ掻いてやっていた手にもフワフワしたものがくっついている。
杉の木が赤茶色に染まり、薬局に花粉症対策コーナーができる時期、猫達の春の衣替えシーズンがやってきたのだ。
もちろん、それ以外の季節でも身体を掻いてやればいくらかは毛が抜けるし、毎日掃除していたってどこかに綿ぼこりのような毛のかたまりが転がっていたりするのだが、夏毛から冬毛、冬毛から夏毛へのはえかわりの時期はそれこそ1日3回掃除機をかけたって完全にきれいにしておくのは無理なんじゃないかと思えるくらい抜け毛が目立つ。
ま、我が家が焦げ茶色のフローリングで、イッパイアッテナは真っ白、みやびも半分以上白いというのも一因かもしれないけど。イッパイアッテナは長毛だし。
だけど1週間も掃除してないように見えるのは別に気にしなきゃ構わないけど、寝ころんで掻いてやってる時に抜けた毛がフワフワ漂って口の中に入ってきそうなのは困る。枕や布団にもいっぱい付着するし。
で、ブラッシング。
猫用のブラシで梳いてやると取れる取れる。間の時期には考えられないくらいあっという間にブラシが毛で一杯に。
でもねー、みやびはいいんだ。結構ブラッシング好きで梳いてやってる間コロンと横になってゴロゴロいってたりするから。問題はイッパイアッテナ。
別にブラッシングが嫌いな訳じゃない。
梳いてやるとみやびと同じようにゴロゴロいって喜ぶ……んだけど、ちっともじっとしててくれないんだな、こいつは。
なぜかブラッシングの間中ウロウロと家中をうろつき回る。逃げるんじゃなくて、壁や家具に頭をこすりつけたりしながらゆっくりと移動するの。時々は「ここを梳け」って感じで首をのばして喉の辺りを梳かせたりもするし。
何考えてんだか?
つまり、彼のブラッシングは中腰で移動しながらという事になるので非常に疲れるのだ。押さえつけてするのもなんだし。
めちゃめちゃ眠いらしい時は、ブラッシングしてもデレッと寝てるだけだったりするけどね。
Episode120 迷惑カメラマン
ボクが玄関の靴箱の上で気持ちよくお昼寝しているとお父さんがつんつんしてボクを起こした。

「ふあぁーっ……」
とあくびをしている途中でカシャッというシャッター音。
え? 何?
「ニャ?」
とかわいく鳴いてなあに? って訊いたんだけど、お父さんったらデジカメのモニターに見入っていてボクの事無視するんだよ。一体何してるのかなァ?
別にボクに用がある訳じゃないみたいなんで、また寝る事にした。
つんつん
うーん……。なァに?
ふわぁああ……
カシャッ!
またお父さん。カメラ構えてボクを起こした後、写した画像をながめてる。なんだよー。用がないなら起こさないでよね。せっかく気持ちよく寝てるんだから。
うーん、眠い。
「イッパイアッテナー!」
うにゃああ……あふぅ
カシャリ!
なんなんだよー、まったくう!
おとーさんったら、どーしてボクを寝かせてくれないの? って、思ってたら、後でお父さんがお母さんに話してた。
「きょう、イッパイアッテナがあくびしてる写真撮りたくて3回も起こしてもた」
「ひどいなァ、3回も?」
「なかなか思うような角度で撮れへんねんな、これが。あくびの写真なんか寝てるとこ起こすとかせんと撮られへんし」
だってさ。あくびしてる写真が欲しいんならそう云ってくれれば……やっぱり無理かなー、起きてる時にカメラ構えて待ってられても緊張してあくびなんてでないよね。
でも、だからって一日に3回もボクの安眠をじゃましないで欲しいな。
Episode127 みやびのしっぽ
みやびが窓辺に座ってる。
窓枠からシマシマの細長いしっぽだけがだらんとぶらさがっている。
ちょっぴり鉤になっているしっぽの先をチョンとつつく。しっぽがピクッと動いて先端が上を向く。しばらくするとまたしっぽが垂れ下がる。
またつつく。しっぽがピクッとして、つついた手にみやびのパンチがとんできた。
しっぽだけ独立した別の生き物みたいにうねうねとのたくっている。
そして弛緩[。
人差し指をしっぽの先に近づける。
みやびの耳がピンとたって警戒態勢にはいった。指の先がしっぽの先端にゆっくりと近づいていく……
クククッ……としっぽが動いて指をよける。
よけたしっぽの方へスイッと指をもっていく。くにゃん、としっぽがうごめいて逃げる。
うねうね、ぐにょぐにょ……追いかけても、追いかけても、逃げていくしっぽ。まるでセンサー付のおもちゃ。
Episode151 ゴン!
風日の旦那の仕事部屋の扉は引き戸である。
引き戸というのは開けっ放しにしたり半開きにしたりしても、蝶番のついたドアのように邪魔にならないすぐれものだ。と、いうのはこのEpisodeには関係のない風日の私見だが、とにかく普段旦那は部屋の扉を開けっ放しにして仕事をしている。
が、来客時とかごく稀に暖房をいれる(エアコンはあるのだが、ほとんどずっと足温器だけで頑張っている。そのせいで室内で仕事をしているクセに左手にしもやけをつくった事がある。右手はずっと動かしっぱなしなので血行がいいみたい)時には扉を閉める。
しかし扉を閉められると迷惑するのは猫である。猫には扉を開け閉めできないので自由に往き来することができなくなる。かといって猫が入れろとか出せとかいうたびに人間が開け閉めしてやるのは面倒だ。
で、旦那は扉の下部をのこぎりで切って、猫用出入り口を作ってしまった。いい加減に切ったギザギザの縁にガムテープを貼って、猫が出入りでき、かつ暖気が逃げないように紙を一枚ぶらさげただけ。旦那は家の美観という事に無頓着なので、適当にやっつけ仕事をしてしまい、非常に見た目が悪い。
この間旦那が風邪をひき、珍しく部屋を閉め切って暖房をいれた。当然猫達は猫穴を通って出入りする。
ある時、部屋を出ようとした旦那が扉を開けかけた時にイッパイアッテナがいっしょに出ようとした。開いた隙間からではなく、その日何度も出入りしている猫穴から。
が、ゴン! という音をさせてイッパイアッテナは頭を壁にぶつけてしまった。
猫穴は扉の開く方と反対の端にあり、少しでも扉を引くと猫穴と壁の部分が重なってしまうのだ。それを見て面白がった旦那は、翌日イッパイアッテナが仕事部屋から出ようとしているのを目にしたとたん、サッと扉を半開きにした。
ゴン!
いつものように紙の扉を押し開けて廊下へ出ようとしたイッパイアッテナはまたしても頭をぶつけてしまった。
おとうさんのいけず!
Episode159 みやびの自己主張
みやびは無口な猫だ。
かなりが付くほどうるさいイッパイアッテナとは対照的。それでも我が家へやってきた頃はおびえがひどくてひたすら人間を避けていた彼女だけど、最近はそれなりに自己主張するようになってきた。
今回は滅多に鳴き声をきかせてくれないみやびの自己主張の方法を紹介しよう。
その1――ドアを開けて欲しい時
人間が彼女のいる部屋にいる時はただじっとドアの前でたたずむ。人間が彼女のいる部屋にいない時はサリサリとドアを引っ掻くか、首を掻いて首輪の鈴を鳴らす。
その2――お腹がすいている時

人間の傍にいってじっと顔を見つめる。体を掻いて欲しいだけの事もあるが、掻いてやろうとしてもスルッと身をかわして少し離れた所からまた見つめる。寝ころんだり、座ったりしていた人間が立ち上がった時にダッシュでついてこようとすればまず間違いない。
その3――体を掻いて欲しい時
最近は夜ケージにいれる前に体を掻いてやるのが習慣になっているのでケージを就寝時の場所へ移動させたとたんベッドの上にダッシュする。(床の上でゴロゴロするのは嫌らしい)
あまりに気持ちよさそうに掻かれていて大丈夫かなと思って抱き上げようとかすると、抱かれるのが嫌いな彼女はタッタッタとケージの方へ去ってしまうのだけど、掻かれたりない時はまた戻ってきてベッドの上で横になる。
人間の方が掻くのに疲れてくるとわざとみやびの嫌がる事をしてケージの方へおいやるのだが、まだ寝る気分でない時はケージの直前でUターンしてベッドに戻ってしまうので、人間も何度もベッドとケージの間を往復する事になる。
「お嬢、まだお掻きしないといけませんか? いい加減寝ましょうよ?」
などといいながら猫の体を掻いている様はまるっきりアホである。
その4――遊んで欲しい時
人間の手に猫パンチをくりだす。
「何するねん!」
Episode165 猫のあくび
猫は眠いときじゃなくって起きようとする時にあくびする。
だから猫のあくびが見たい時は寝ている猫をつっついて起こすのが一番手っ取り早い。そうしたら顔の半分くらい口にしてあくびをしてくれる。とんがった歯がずらっと並んでいるのが見えてとっても怖い。アニメで上品にかわいらしいあくびをしている猫を見た事があるけれどあれは嘘。
つついて起こしても寝たりない時はすぐにまた寝てしまう。そのままパタンと首だけ落として寝ちゃう時もあれば、もう邪魔されないように顔を前足で隠すようにする事もある。
一旦立ち上がってその場で2〜3回クルクルッと回ってからまるまる事も。そんな時さっきまでと頭が逆方向を向いている事も多いので旦那はこれを「猫の寝返り」と呼んでいる。
起きるときはあくびの後、伸びをする。
4本の足をおんなじようにつっぱって背中がアーチ型になる時もあるし、後ろ足は曲げておしりを引くようにして前足を伸ばす事も、片方の前足だけを宙につきだして肉球をひろげる事もある。その全部を順番にする事だって、寝っ転がったまま仰向けや横向きでスーパーマンのポーズをとったりもする。
でもそんな時誇張じゃなく関節がググググッと伸びる音がする。
猫といっしょに寝ていて耳の傍で伸びをされたら、よく聞いてみるといい。さすがにぱきっと節が鳴る音は聞いた事がないけどね。
(上記はpompomdoraさんのリクエストによるものです)
Episode184 猫太鼓
ポンポンポポポポポン、ポンポン……ポンポンポポポポポン、ポンポン……
「モスラーや モスラー……」
なーんてのんきに歌っているのは風日。
遊びに来ている猫好きの友人にちょっと芸をご披露って訳。え? なんでモスラのテーマを歌うのと猫好きが関係あるんだって?
それは風日が太鼓代わりに叩いているのがイッパイアッテナのお腹だったりするから。

いやー、いい音がするんだよねー、ホント。
叩かれてるイッパイアッテナは嫌がらないのかって?
大丈夫、風日の膝の上でくつろいでる時は大抵の事を無視してくれるから。それにねェ、適度な強さで叩くと気持ちイイみたいで、ゴロゴロ喉を鳴らしたりするんだな、これが。まあ、彼の場合は強引に押さえつけて耳掃除している最中でも身体が触れ合ってるのがうれしいのか、ちょっとゴロゴロいってる事もあるので本当に喜んでいるのかどうかはわかんないけど。
みやびのお腹もそれなりにイイ音がするし、その時の気分によってはやっぱりゴロゴロいって喜んでくれるんだけど、彼女は膝に乗ってくれないからねェ。
でも猫太鼓演奏者としてはどちらを叩くか、あるいは頭に近い方とか、お尻に近い方とか、背中に近い所、お腹の真ん中、と叩く場所によって若干音が変わるのでなかなか楽しい。
このページのイラストはすべて霜月楓さんから頂きました
