| Episode84 素敵なボディランゲージ |
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フィンランドのタンペレという駅からヘルシンキ行きの列車に乗ろうとした時の事。
ホームで待っていると、続け様に何度か構内放送があった。当然フィンランド語なので、何を云っているのかさっぱりわからない。
と、予定時刻になっても私が乗るつもりの列車がこない。あ、さっきの放送はこの事を云ってたのかな? と思うけど、単に少し遅れるという放送なのか、発車ホームがかわるって事なのか、それとも事故かなんかあってすんごく遅れるって事なのか……?
とか思ってるうちに向かい側のホームに列車が……
うわ! もし、あれがヘルシンキ行きだったらどうしよう?
この辺りは列車の本数が少ないからひょっとしてアレに乗り損なったら今日中にヘルシンキに着けないかもしれない。いつもの移動ならそれでもいいけど、今日はヘルシンキから日帰りのつもりで、向こうに宿もとってあるし、カメラと財布とパスポート以外は全部部屋に置いてあるっていうのに……
とにかく、駅員さんに訊いてみよう。(フィンランドでは若い人はある程度英語を話せる人が多い)
あせりまくった様子で時刻表や時計や向かいのホームをキョロキョロ見た後、切符売り場の方へかけだそうとした時、傍のベンチに座っていたおばあさんにとんとんと背中を叩かれた。
振り返ると、笑顔といっしょに
「ヘルシンキ?」という問い。
「ヘルシンキ」
と云って頷くと、おばあさんは袖をまくって自分の腕時計を見せてくれ、まず現在時刻を指してから時計の縁に沿ってぐるっと指を半周させ30分後の場所で止めた。そしてにっこり笑って自分の隣の席をパンパンと叩く。
これって『ヘルシンキ行きの列車は30分遅れるけど、ここに座って待ってればちゃんと乗れますよ』って云ってくれてるのかな?
「キートス(ありがとう)」と云って不安を残しながらもおばあさんの隣に座った。
英語も通じないし、ボーッと座り続ける事30分。
来たっ!
ヘルシンキ行きの列車が目の前のホームへ滑り込んでくる。
「キートス!」
改めておばあさんにお礼を云って列車に乗り込んだ。
こちらから尋ねたわけでもないのに行きずりの外国人に親切にしてくれた事、言葉なんて通じなくても気持ちを伝える知恵を教えてくれた事、忘れられない思い出です。
| Episode93 おしかけガイド |
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朝、まだ暗いうちに起き出して、かみつくと港へ。
スペインってだいぶ西にあるのにイタリアなんかと同じ時間(しかもサマータイムまで)を使ってるから、この頃は日の出が7時くらいで日没が9時ぐらいだった。
アルヘシラスの港からモロッコのタンジェへ行くフェリーはユーレイルパス(ヨーロッパの17カ国で国鉄に乗り放題の定期券。何カ所かでは船にも使える)で乗れるというのでちょっとアフリカの大地を踏んでこようという事になったのだ。
窓口の時刻表では8:30出港という事になっていたのに、ユーレイルパスを見せて貰ったチケットには9:30発と書いてある。なんだ、だったらあと1時間寝ててもよかったかな、と思っていたら、実際に出港したのは11時ぐらい。
なんていい加減なんだ。
2時間半の船旅を終えると先にモロッコ人がワッと降りていって外国人は後回し。船内が外人だけになったところで入国審査官が乗船してきてパスポートチェック。スタンプを押してもらって、ほとんど人気のなくなったタンジェ港に足を降ろした。
とジュラバ(アラビアの民族服)を着たおじさんが「こっち、こっち」と大声で呼びながら手招きする。はて、まだあそこで何か手続きをしなくちゃいけないのかな? と思って行ってみると、なんとガイドさん。
お役人じゃなかったんだ。
なんかお互いにあやしい英語ですったもんだ言い合ったあげく、根負けして案内を頼む事にしてしまった。
ここじゃ、英語はほとんど通じないハズだし、アラビア語もフランス語も(元フランス領だったのでフランス語はそれなりに通じるらしい)まるっきりダメだし、女の子二人っきりだし……
ラクダに乗せてくれるって云われたのが決定打だったかもしれないけど。
| Episode94 のせられてしまった…… |
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予定では午前10時くらいにはタンジェについているはずだったので、むこうに着いてからでいいや、と朝ご飯ぬきで港に行ってしまっていた私とかみつくは、実際にタンジェに着いた午後1時30分にはもうお腹ペコペコ。
で、はからずも雇うことになってしまったアラブの民族衣装を着たおじさんとその息子だというモハメッドという洋服を着たにーちゃんガイドに
「何か食べたい」と訴えた。
連れていかれたのはいつも利用している定食屋っぽい店じゃなくて、それなりの店構えの所。できれば屋台あたりですませたいところなんだけど、しょうがない。
床に胡座をかいて座るようなつくりで、なんと民族音楽の生演奏付き。しかも、お客は我々だけ。なんか支払いが心配。
味はそこそこだった。
で、重い(っていってもディバックひとつなんだけど)荷物を持ってウロウロするのは嫌だと、宿を紹介してもらって、とりあえず荷物を預ける。
んで、市内を少し歩いて見て回って、「休憩しよう」と云われて連れて行かれたのが、絨毯屋。
「私達は絨毯なんか買う気はないよっ!」
って云っても、お茶飲むだけだから、とズンズン奥へ入っていき、座らされてしまった。でてきたのは大きなガラスのコップに生のミントの葉っぱをどっさりいれてお湯を注いだミントティー。絨毯屋のおやじさんやモハメッド達はお砂糖をいれて飲んでいたけど、私とかみつくは砂糖は遠慮した。
結構いける。
絨毯屋の親父が色々と絨毯の説明を始める。だからァ、絨毯買う気はないんだってば。
でも、この絨毯はファイヤープルーフ(耐火仕様)だ、なんて云われるとつい、
「えーっ? そんなんアリ?」
と身を乗り出し、おっちゃんが煙草の火をおもむろに絨毯に押しつけるのをじっと見つめてしまう。
もちろん、絨毯はちょっぴり焦げるんだけど、その後をチョッチョッと指で払うと、アラ不思議、絨毯は火を押しつけられた事などないように元通り。
ウール、もしくは絹100パーセントで織りが密だからなんだって。実際に手で触るとその感触の気持ちいいこと!
四畳半くらいの絨毯でも畳むとトートバッグに収まるくらい小さくなるとか、300年もつとか聞かされて、だんだん欲しくなってくる。元々こういうの好きだし。
この店は絨毯の織り方を教える学校の直営で生徒が織ったものなので、同じ品質のものがよそより安く買えるとか、「いくらだったら買う?」なんて云われて……
かみつくが、小さいシルクの絨毯を買ってしまったんで、つい私もウールのやつを……
うぎゃー!
とんでもない予算オーバー。だめだ、やっぱりガイドなんか雇ったのが間違いだった。
| Episode97 イタリアからの荷物 |
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4月16日
ローマは結構あったかかったので、もう厚手の上着はいらないかなーと風日は何年も着てこきたなくなってい安物のブルゾンを捨ててしまった。
だって、持って歩くと荷物になるしさ。でも、かみつくは持って歩くのも捨てるのも嫌だっていう。
で、船便で送るべー、と郵便局へ。
「終着駅」なんていう映画にもでてきたテルミニ駅構内の郵便局へ行くと、ここでは小包の発送は受け付けていない、という。117番のキオスクでパッキングしてもらって、その先の郵便局へ行けと。
だけど、広い構内を走り回ってもどっちもみつからない。
いつまでもそんな事やってると観光する暇がなくなっちゃうんで、どっか途中でみつかるかも、と荷物を抱えたままバチカンへ。
テルミニからバチカンって普通ならバスを使うような距離だと思うんだけど、いつものように交通費をケチって歩く。インフォメーションでもらった無料の地図はかなりいい加減。
英語はほとんど通じないし、風日もかみつくもイタリア語はからっきしなんで要領を得ないんだけど、とにかく出合う人出会う人に「パッコ(小包)、パッコ」を繰り返しつつ、3ヶ所の郵便局をみつけて訊いてみた。けど、1キロまでしか送れないとか、色々云われて全部不可。
夕方、疲れ果てた私とかみつくの目にペリカン便の看板が……。高そうだけど、一応訊いてみるか、と行ってみる。
応対してくれたのは日本人のおじさん。言葉が通じるってありがたいねー。しかし、そのおじさんの見せてくれた料金表はちっともありがたくなかった。
船便はコンテナ単位(つまり引っ越しとか企業が商品を送るのに使うような量)でしか受け付けていないので、小さな荷物はすべて航空便になるという。そして、かみつくの送ろうとしている荷物の料金は
2万円!
2年間着用の5千円しないジャケットと1年半着た4千円くらいのトレーナーと雑誌1冊送るのに。私みたいに潔く捨てちまえ! とかみつくに云ったけれど、
「ベネトンのトレーナー捨てられると思うっ?!」
ときたもんだ。これはもう売ってないデザインだってワケ。(かみつくはF1狂いで、この旅行中もかなり凄い格好をしていた)
で、どうしたかって?
さすがに郵便局探しに風日を引っ張り回すのに気がひけたのか、それとも単に自分が面倒になっただけなのか、2万円払っちゃったよ、かみつく。
いやー、思い切ったもんだ。
| Episode102 カジノ・イン・ラスベガス |
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グランドキャニオンへの玄関口として滞在していたラスベガスで風日の体調は最悪だった。ショーをひとつ観ただけで、ホテルのプールも利用せず、ほとんど寝て過ごした。
が、やっぱりここまで来たらカジノもしっかり観察しておかないともったいない、とふらつく身体でカジノへ。
しかし、ルールもよくわからないし、言葉の壁も抱えているんでテーブルゲーム(ポーカーとかクラップスとか)はびびってしまう。
と、なるとやっぱりスロットマシン? でも、あれって一番確率悪いんだよね。ほんとならブラックジャックとかやる方がお金なくす率少ないんだけど……
とかなんとか考える。しかも
「そんなもん買うより、買ったつもりで貯金した方がいい」
と云って宝くじでさえ買った事がない風日にギャンブルなんてできる訳がなかったんだわ。考えてみたら。
で、1回5セントのポーカーゲーム機を見つけてやってみる。ほかのゲーム機はみんな25セントとかだったから、そんな小銭かけて遊ぶ人って殆どいないんだなとか思いつつ。
何度目かに勝負した時大当たりがでてじゃらじゃらコインがでてきた。っていっても5セント硬貨だから1ドルかそこらの儲け。
こりゃいけるかも?
なんて思ったけど、やっぱり世の中そんなに甘くなかったね。でも30〜40分遊んで、使ったお金が1ドル25セント。(当時130円かそこら)
ラスベガスでこんなお金の使い方するのは風日くらいかもしれない。
| Episode104 ちょっと詩的に…… |
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クレタ島で書いた落書き
春 クレタの夕陽はつつましい
海の青が徐々にその濃さを増し 半透明の黒い薄ガラスを通したような色が混じる
西空はエアブラシでぼかしたような薄桃
太陽はわずかな光輝を放つ黄色味を帯びた白金の盆だ
あつかましい程のぎらつきも 鮮血のような毒々しさもない
中天は淡い水色 白く輝く月が浮かぶ
どれもこれも 淡い色調の赤紫・藍・黄・桃色が複雑に それでいて明確に層を成し じわじわと薄墨[ が世界を侵し始める
ふと気付くと 太陽の黄色が濃さを増し パステルオレンジに変じたと思った次の瞬間 全面が淡い朱色に染まっている
かすかに煙る 山の端
下方から暗い赤に変じていく太陽 まるで消えゆこうとしている線香花火を見ているようだ
アポロンの馬車が朱に染まってからほんの僅かの後
月だけが天空で冷たい微笑みを投げかける
が 街はまだ充分に明るい
地下のトンネルの入り口から 日の光が漏れだし
トワイライトの魔法が世界をめまぐるしく塗り替え 万華鏡のように様相を変貌[ させていく
ここには眩しく眼を射る残照はない
| Episode108 スプラッタな市場 |
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イースターの前日。
アテネの街は買い物客でごったがえしていた。市場を歩いていると色々と日本ではお目にかかれないようなものが見られる。
箱いっぱいにうごめいている食用カタツムリ。箱から脱走して道路を這っているやつもいる。ここら辺で食べられているのはフランスのエスカルゴ料理に使うような養殖したでっかいのじゃなくて、野生のちっちゃいやつ。
黒っぽいのや黄緑の、深緑の、粒が大きいの小さいの、いろんな種類のオリーブを売っているお店。
そして大きなビニール袋に入った羊を肩に担いで歩く人。
ギリシアではイースターに羊を食べる習慣があるそうで、道行く人々が集まった親戚や友人達と食べるために丸ごとの羊を買って帰るところだ。屋根に4、5頭積んでいる車も見た。もちろん、みんな皮をはがれて血抜きされている。
その光景だけでも、いい加減気持ち悪かったのだけれど、食肉市場へ足を踏み入れたとたん、血の気のなくなったビニール入りの羊なんて気持ち悪いうちにはいらないと思い知った。
狭い通路の両側に肉屋さんがずらりと並んだその市場では血まみれのエプロンをつけた体格のいいおじさんやお兄ちゃんがでっかい包丁をふるって、皮はぎや血抜きにいそしんでいた。
ときおり、ビシュッと血が飛び散り、服にかかるんじゃないかと思わず後じさる。店先に並んでいるのは羊が多いけれど、毛をむしられたヒヨコや皮のないウサギなども。
たまたま目があった肉屋の兄ちゃんが声をかけてきた。ギリシア語はあいさつくらいしかわからないけれど
「どうだい、うまそうだろう? 買っていかないか?」
とでも云われたんだろうか?
日本人の私には魚の活け作りを見て「おいしそう」と思う事はできても、皮なしのウサギを見てそう思うのはちょっと、いや、かなり無理がある。
だって眼が怖いんだもん。
羊もウサギも、まぶたのない眼でギョロッとこっちをにらんでる。そこらじゅうに血の臭いが充満してたし。
ううっ! スプラッタだあ、とその市場を早々に退散した風日とかみつくだった。
| Episode112 あつかましいやつ |
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フィレンツェのユースホステルには主[ がいた。
みやびと似た模様の大きなオス猫。そいつが寝室だろうが食堂だろうが我が物顔で歩き回っている。
雨降りの午後。
寒いし疲れたしで早めに街から引き上げた風日は夕飯までちょっと寝る事にした。ちょうど風日がスプリングがのびてハンモックのようになってしまっているギシギシ鳴る2段ベッドの上段にもぐり込もうとした時、そのオス猫がのそのそとやって来た。
「いっしょに寝る?」
と云って布団の中に入れてやるとそのまま私の腕を枕にして寝てしまう。さすが、常に見知らぬ人間に囲まれて暮らしているだけの事はある。殆ど初対面の人間の腕を枕に熟睡するとはたいした図太さ。
ユースの薄い毛布だけでは寒かった事でもあり、はじめはその猫のあたたかみを歓迎していた風日だったが、その名も知らぬ猫はかなり重く、すぐに腕が痺れてきた。で、腕を抜こうとしたら
「痛っ!」
なんと枕がなくなるのが気に入らなかったのか、そいつは私の腕に噛みついたのだ。
もちろん痕が残るほど噛みつかれたわけじゃあないけれど、甘噛みというにはちょっとキツめ。
ううむ、そんなに枕が欲しいのか、と腕枕をしたままズルズルと猫の身体を移動させ、横に寄って私の枕を半分あけて猫の頭を枕にのせてから腕を抜くと、今度はおとなしくそのまま寝ている。
こんなやつ招待するんじゃなかった、と思いながら狭いベッドの上でさらに縮こまりながら昼寝するハメになってしまった。
| Episode116 ペセロ(メキシコの乗り合いタクシー) |
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メキシコシティにはペセロと呼ばれる乗り合いタクシーが走っている。
マイクロバスかワゴン車サイズで、車体にルート番号が書いてあり、決まったルートを巡回している。一応乗り場はあるけれどルート上ならどこで乗り降りしても構わない。運転手さんに云っておけば目的地に一番近い所でおろしてもらえるから便利。
料金は日本人の感覚からすれば激安。ルートや乗った距離によってかわるけど運転手さんがちゃんと計算してくれてボラれる心配もない。
さて、そんな便利なペセロだけど異邦人でスペイン語もあやつれない風日にはどのペセロに乗っていいものかわからない事も。だから一応乗る前に傍にいる人をつかまえて、かたことのスペイン語で確認をとるようにしていた。
いやー、メキシコシティの人達ってホントに親切だったね。
「どこそこへ行きたいんですけど、ここへくるペセロに乗って大丈夫ですか?」
っていう風に訊くと、そのペセロがくるまでいっしょに待ってくれて、運転手さんに
「この子達どこそこへ行きたいんだって」
と伝えてくれ、料金を確認してくれたり、その料金を払ってくれた人までいる。
あるいはガイドブック片手に何番のペセロに乗ればいいのか調べていたら、向こうから
「どこへ行きたい?」
と訊いてきてくれて、その時風日が行きたかった所がたまたまその人のよく知らない場所だったらしく、
「ちょっと待ってて」
と云って、公衆電話に走っていき、誰かに電話して調べてくれた人も。
『メキシコよいとこ一度はおいで』って感じ。
でもねー、窓に銃弾のあとみたいなものがあったペセロもあったんだよねー。滞在中は一度も怖い目にはあわなかったけど、民族紛争とかあって治安がいい国とは云えないのも事実だから。
| Episode129 無料で国際電話 |
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今はどうだかわからないけれど、1990年にデンマークへ旅行した時、ほとんどの公衆電話は受話器をあげてダイアルし、回線がつながった瞬間にコインを入れて通話する、という方式だった。だからコインを入れるタイミングが遅れるとつながったとたんに切れる。使い慣れないとドキドキする代物だ。
ある日実家に電話をしようと思った風日がダイアルし、回線がつながったのでコインを投入口に落とした。が、国際電話ができるようにつづけさまに入れたコインがすべてそのまま返却口から戻ってきてしまったのだ!
当然電話は切れる。
おかしいなと思いながら再挑戦。でも結果は同じ。そして気が付いた。その公衆電話は古い型で、当時デンマークで使われていた2種類のコイン(500円玉みたいな感じ)のうち古い方しか使えないらしいという事に。
残念ながら新コインの手持ちがなく、その時は電話をかけるのをあきらめたのだけど、回線が繋がってから投入されたコインが使える物ではないと判断されて接続を切られるまで2秒くらいかかる。(一個目がダメでも2、3個目くらいまでは電話機が悩む感じ)
だから早口でしゃべれば「今、コペンハーゲン。元気だよ。心配しないで」くらいはタダで話せるという事を発見したのだった。
| Episode131 生ハム |
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バルセロナのサン・ホセ市場で生ハムの外側のところを切り落としたものを売っていた。安かったので買ってみる。
かみつくと二人、グエル公園へ出かけていき、市場やスーパーで買ったパンやワインといっしょに青空の下で食べた。
ちゃんと生ハムとして売っている部分はやわらかくておいしいのに、細切れになった外側はかたくてやたら塩辛かった。食パンの内側とミミ以上の違いがある。やっぱり値段は値段だ。まあ、お酒のアテに少し食べるぶんには結構いけるかもしれないけど。
それなりにたくさんあったので『残しておいてまた夜とか翌日に食べればいいや』と思った風日の目の前で、食いしん坊のかみつくがドンドンくだんのハムを食べていく……
よくこんな辛い物ばかり食べ続けられるなァ、と感心しているうちに一人で全部食べてしまった。
が、やっぱり無理があったんだね、普通に噛み切るにはかたくて、口にくわえてしがむようにして噛み続けなきゃいけないような代物だったんで、かみつくの唇が塩でひび割れを起こしてしまった。
「食べていい?」
とも訊かないで人の取り分まで食べちゃったりするからだよ。
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