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今夜の番組チェック
おかしなやつら 4
10年ほど前にコンピュータープログラムを作る会社に勤めている知人から聞いた話。
ある日、とあるプログラムを納品した会社から電話があった。ソフトの使い方を訊いてくる電話は別に珍しくもないし、ひょっとして何かバグを見落としたまま納品してしまったのかもしれない。が、その電話はいつもと少し様子が違った。
「あのう……」
どういうトラブルがあったのかという問に電話の相手はひどく云いにくそうに言葉を切った。
「そのですねェ……」
なんだこいつ、この忙しいのに早く用件を云え、と云う訳にはいかないが、イライラし始めた彼の耳にとんでもない科白が飛び込んできた。
「画面に『カバ丸のバカ、カバ丸のバカ、カバ丸のバカ……』ってでるんです」
!!!!!!
彼の顔から血の気が引いた。
ゲームならともかく、経理だのなんだのの為のプログラムなんて組んでいても面白くもなんともない。で、その職場の人間は自分達の手にある間、よくプログラムにちょっとしたいたずらをして遊んでいたそうだ。「エラー」表示のかわりに画面にウ○チのマークが出るようにする、とか、まあそういった他愛のない遊びで気を紛らせていたらしい。
もちろん外部に出す前にそういういたずらプログラムは消去するんだけど……
彼はうっかりある操作をするとモニターが『カバ丸のバカ、カバ丸のバカ、カバ丸のバカ……』という表示で埋め尽くされる、というプログラムを消去するのを忘れたまま、納品してしまったのだ。
風日に話してくれた時には笑っていたから、多分たいしたおしかりも受けないですんだんだろうけど、若い時ってほんとにつまんない事やって遊んでたんだねー。
高校時代オーストラリアに家族旅行に行ったJ君。
彼は僅かな滞在期間の間に彼の地がいたく気に入ってしまい、高校時代は英語の勉強にのみいそしみ、他の教科の勉強はすべてうっちゃってアルバイトに励み、高校卒業と同時に単身オーストラリアに渡ってしまったという剛の者だ。
そのJ君がとある牧場で住み込みのバイトをしていた時、ちょっと街へ遊びに行こうと思い、牧場主の息子の自転車を借りた。牧場から街まで何キロあったのかは忘れてしまったけれど、結構な距離だった事は確かだ。彼の他には人も車も見当たらない未舗装の一本道を猛スピードでとばしていく。
長い下り坂の先に目的地――荒野のまんなかにニョッキリとはえたような街――が見えた。
そして彼は気付いた。自転車のブレーキが壊れている事に。
今、彼が猛スピードでくだっている未舗装路の終点は突然平地になり、あたりより一段高くなったアスファルト舗装路の始点でもある。
が、J君はあわてない。
「いいや、アスファルトに乗り上げた瞬間に自転車から飛び降りよう」と思って地面に足をついてスピードをゆるめる事もせず、そのまま坂を走り降りていった。
前輪が舗装路にぶちあたり、車体が浮く。
その瞬間、彼の脳裏をかすめた考え。
「あ! これ俺の自転車やない!」
自転車を壊すとマズイんじゃないかという懸念が彼の動きをにぶらせ、手遅れになるまでハンドルから手を放す事ができなかった。
結果――
J君は骨折。身を挺して守ろうとした自転車も大破してしまった。
タイミングの悪いときに思い出さなくてもいい事を思い出してしまったものだ。
わかる人にしかわからない話。
久しぶりにのこと話した。近頃はますますパワフルに同人サイトめぐりをしたり同人誌に読みふけったりしているという。
「で、最遊記の映画は観に行くの?」と訊くと
即座に
「行く!」という答が返ってきた。
「ワンピなんか7回観た」というおまけつきで。
「7回?!」
あきれて声が裏返った私の耳にさらにのこの科白が飛び込んでくる。
「娘は6回やけど」と。
映画ワンピースの公開初日は学校のある土曜日だったので、母親同様熱烈なワンピースファンである小学4年生の娘を学校に送りだした後、ひとりで観に行ったのだそうだ。
あとで娘にばれて翌日、総入れ替え制の劇場で2回、さらに別の日に2回、もう一回別の日に2回、その時は娘と息子連れで観に行った、と。
よくやるよ……
I ちゃんの娘が幼稚園の時のこと。
遠足だかなんだかで拾ってきたどんぐりを水につけ、何日もおいていたそうだ。
なぜかって?
彼女は「どんぐりを水にいれるとドジョウになる」と信じていたから。だって、ほら
♪どんぐりころころ どんぐりこ お池にはまってさあたいへん ドジョウが出てきてこんにちは……
ね、どんぐりはお池にはまるとドジョウになるってあの有名な歌でも云ってるでしょ。でも、何日待ってもどんぐりはドジョウにならなかった。
I ちゃんは思ったものだ。
「これでどんぐりはドジョウにはならない、と納得するだろう」と
ところが娘はゆずらない。
「普通のお水にいれたからどじょうにならんかったんやわ。お池にいれたらきっとドジョウになる」と。
そして4年生になった今も彼女は「どんぐりはドジョウになる」と信じているそうだ。
「えーっ。植木鉢にまいて芽がでたら、どんぐりは木になるって納得するんちゃうん?」
と云った風日に I ちゃんはこう答えた。
「だから、土に落ちたどんぐりは木になって、池に落ちたどんぐりはドジョウになると思っとんやて」
うーむ。あなどりがたし、子供の感性。
結婚前、旦那が一人暮らしをしていた部屋へ遊びに行った。
ちょっといいとこ見せておこうかな、と料理など作ってあげようとしたんだけど、出来なかった。炊飯器も鍋も茶碗さえなかったから。
自炊してたんやなかったん?
という質問にそれは最初の何年かだけで、原画描くようになって生活にゆとりができてからはずっと外食とかコンビニ弁当のたぐいばかり食べているという。
で、もういらんやろ、といさぎよくすべての調理器具と食器を処分してしまった、と。しかし、やかんすらないっていうのはどういうこっちゃ、お茶飲まへんの? と思っちゃうよね。
ま、ほとんど会社ですごしてて家には寝に帰るだけだからといわれればそうなんだけどさ。
一応、自炊生活のなごりでちっちゃい流し台の横に油まみれほこりまみれの一口ガスコンロが置いてあって、これは使えるようだったけど、やかんもないんじゃ意味がない。長いことガスの基本料金払ってるのがバカバカしいじゃない。
でも、私の手料理を食べ損なった事が結構残念だったらしく、その次に遊びに行くと電話したら、「炊飯器その他を買ったから何か作ってくれ」という。
ひゃああっ!
その時はもう結婚する事が決まっていたので「なんてもったいない!」と思ったワケ。
だって風日だって長い間一人暮らししてて炊飯器とか色々持ってたんだから、ふたつになっちゃう。それにどーせ買うんなら、自分で気に入ったの買いたかったのに、と。で、あれも買ったこれも買ったなんて話を聞いているうちにふと旦那が黙り込んだ。
「どーしたん?」
「重大な事に気が付いてしまった」
重大な事? 何それ?
風日はちょっとドキドキしながら旦那が話を続けるのを待った。
「食卓がない」
「へ?!」
どうやらご飯を食べる為のテーブルがない、という事らしい。
「食卓がない、ってどーいう事? 私こないだ遊びに行った時こたつの天板が壁にたてかけてあるの見たで」
「あれは天板だけやねん」
はあ? 天板だけってなんやねん?
「こたつが壊れたんで捨てた時に天板だけ捨て忘れてずっとそのままになってるんや」
おい……
結局、その後旦那の部屋に遊びに行った風日は料理を作り、畳に直においたこたつの天板の上に皿を並べてご飯を食べたのだった。
前にも書いたけど風日の旦那は「宇宙戦艦ヤマト」の大ファンだ。
ヤマトグッズ(特にカード)コレクターでもある。最近はネットオークションにもちょくちょく入札してるみたい。(落札はあんまりしてないみたいだけど)
この間、版権マークのついていない(いわゆるパチモノ)ヤマトカード未開封箱入り、という商品が開始価格千円で出品されていたので、旦那は早速千円で入札したそうだ。
こんなもん欲しがる奴他におらんやろ。多分千円で手にはいるな、なんて思いながら。それでも一応自動入札で二千円と云う風に入力しておいた。
と、二日ほどたって誰かが二千円以上の値段をつけた。旦那はどうしてもそのカードが欲しかったので、それ以上の値段をつけた。だけど相手は自動入札で余程高い値段を設定しているらしく、『ちくしょう、これでどうだ!』と高値をつけるたびに瞬時にはねられる。1万円をこえたところでとうとうあきらめた。
「一体どこのどいつがこんなアホみたいな値段つけるねん? 顔が見てみたいわ」
と、いきまく旦那の横で風日は『ホントにこんなもんにそんな大金つぎこむ人間が他におるから旦那が「俺はまだマシや」なんて思っちゃって、だんだんこづかいのつぎこみ方がエスカレートしちゃうんだよ』とあきれていた。
くだんの商品のオークションが終了して3日程たったある日。旦那がいつもカードや情報を交換しているNさんからメールがきた。
「この間、ヤマトのパチモンカードがオークションに出品されていた。ちょうど忙しい時だったのでそんなにちょくちょくのぞくわけにいかないと、ギリギリの限度額を自動入札で入力しておいたら、『え?!』というような高値で落札されたというメールがきたので、『一体どんな奴がここまでせってきたんだろう』と履歴を調べてみたら、旦那(旦那はHPで公開しているメーアドと同じ登録名でオークションに参加した)だったので驚いた。入札前に気が付いていたらやめておいたのに。(二人で相談して旦那が千円で落としたあと分けるとかすればいいんだもんね)」
というような内容だった。
ま、結局旦那はNさんからカードを分けてもらえる事になって喜んではいたけど、悔しがってたのも事実。もちろんNさんだって不要の出費をしてしまったと悔やんでいるだろう。今度からすでに誰かが入札しているヤマトグッズを入札する時はお互いに気をつけるだろう。
得をしたのは出品者だけだ。
だけど、安心したね。やっぱりああいう物に大枚をはたこうなんて人間はそうたくさんいないんだ。
Tちゃん3歳の時、しゃべるおもちゃと遊ぶ
おもちゃ「こんにちは」
Tちゃん「こんにちは」
おもちゃ「かわいいね」
Tちゃん「ありがとう」
Tちゃん4歳、幼稚園入園後
おもちゃ「こんにちは」
Tちゃん「こんにちは」
おもちゃ「かわいいね」
Tちゃん「あたりまえじゃない!」
Y さんの子供が幼稚園の時、近所の子供達が遊びに来ていた。
台所でジュースの用意などしていたYさんの耳にひとりの子供の声が飛び込む。
「おばちゃーん、金魚にエサあげていい?」
水槽で数匹の金魚を飼っていたYさんはエサの時間ではないけれど、まあいいかと
「いいよー!」と返事をした。
と、しばらくして
「おばちゃーん、この金魚ぜんぜんエサ食べへんでー」という声。
「えー? そんなことないでしょ?」
と云いながら水槽のところに行ってみると……
ちいさな手に金魚をにぎりしめた子供が、もがいている金魚の口にいっしょうけんめいエサを押し込もうとしていた。
水槽から金魚をつかみだした子供に悪気はなかったのだ。単にお腹がすいているだろうからごはんをあげようとしただけだ。
無邪気というのは恐ろしい。
かみつくの家には本があふれている。
bookだけでなくmagazineさえ、ほとんど捨てられずに残っているからだ。しかも、お父さん、兄ちゃん、かみつくの三人でため込むのだからその数量たるやとんでもない事になっている。おまけに三人とも自分の部屋に荷物が入り切らなくなってきていて、すぐにリビングや廊下などに本が積み上がっていく。
以前かみつくが風日と三ヶ月の海外旅行に出かけて帰った時などは出入りする者がいないものだから、かみつくの部屋の前の廊下に兄ちゃんの本が積み上げてあって部屋に入れなかったという。
一人、かみつくのお母さんだけが「本を処分しろ、かたづけろ」と小言を云い続けているけれど、誰も聞く耳をもたない。
ある時とうとう業を煮やしたお母さんはリビングに積んであった雑誌を廃品回収にだしてしまった。が、そのうちの3冊ばかりがどうしてもあきらめきれないグラビア誌だったとかで、かみつくはしっかり買い直してしまった。買い直した本は今のところ自分の部屋に置いてあるらしいけど、新しい雑誌がリビングに積み上がるのも時間の問題だろう。
かみつくに会うたびに「本ってのは重いんだから、今に床が抜けるで」という話をするのだが、こないだは「家にいくらお金をいれているか?」という話がもちあがって、かみつくはこう云った。
「私は本の保管料として○円いれてる」
そう、家賃でも水道光熱費でも食費でもなく、本の保管料だと云うのだ。
「アンタはトランクルームで寝起きしとるんか?」
「そう」
まあ、確かにあの部屋の様子では寝室というより倉庫という方があたってるだろうけど。何か本を借りようと思っても発掘に半年くらいかかる事は珍しくない(まず押入の前に積んである本の山をどかせて、押入の奥の段ボール箱を引っぱり出して……、とかいう事をしなきゃいけなかったりするから)。
貸したものが埋もれてしまう事もある。
それぐらい少ししかいれていないって遠慮もあっての発言だろうけどね。
憬の旦那はひげ剃りのとき鏡を見ない。だから変な角度で使っても肌が切れないようにプロテクターのついたカミソリに変えるまでしょっちゅう顔のどこかを切っていた。よくそり残しもあったし。
なぜ鏡を見ないのか?
それは鏡を見るのが怖いからだ。
大の男が……と思いもするが怖いものは怖いのだからしょうがない。髪をとかす時はもちろん、床屋で鏡の前の椅子に座った時でさえ極力鏡を見ないようにしている。
だから憬の旦那は床屋で「どういう風に切りましょうか?」とか訊かれるのが大嫌い。
『なんでもエエから邪魔にならんように切っといてくれ』
という一番床屋泣かせの客なのだ。
もっとも、彼は本当に自分の髪型にこだわりをもっていないので、モヒカン刈りだの虎刈りだのにでもされない限り文句を云う事はないのだから、一番楽な客とも云える。
でも、この人はこういう人なんだってわかったらいいけど、はじめての客に『適当にやって』と云われても困っちゃうよねー。で、憬の旦那にとって床屋最大の難関は髪を切ってもらいおわって
「いかがですか?」と云われた時。
普通に鏡を見るだけでも嫌なのにわざわざ手鏡まで持ち出して合わせ鏡に頭の後ろが映るようにして見せられる。彼は顔だけ鏡の方にむけて視線をそらし、見たようなフリをして
「これでいいです」
と適当な事を云ってすますそうだけど、もし床屋が彼の髪を七色にカラーリングしたり、シマシマに刈りあげたりしてもきっと気がつかないで帰っちゃうんだろうなー。
ある日 I ちゃんのまだ小さかった子供が云った。
「おかあさん、ボクマツタケ食べたいな」
「よっしゃ、まかしとき」
と請け合ったIちゃんはスーパーに行ってエリンギイを買ってきた。
「ふうん、これがマツタケなんか……」
と目の前のきのこをマジマジ見つめる息子に
「ようさんあるで、どんどん食べ」
とエリンギイを勧める I ちゃん。
エリンギイをマツタケと信じていたが為に、将来Iちゃんの子供が大恥をかくような事がなければいいんだけどね。