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おかしなやつら6
Episode164 もらい上手
何年ぶりかでにエルちゃんと会った。
4歳の長男を連れてきていてすっかりお母さんっぽくなっている。
が、いっしょにいた友人が、
「○○さん(友人のご主人)が電気店で買った福袋にDVDが入っていたけど、自分達には必要ない。がっかりだって云ってて……」
と話すのを聞いたとたん、エルちゃんが
「DVD! ちょうだいっ!」と声をあげた。
と横にいた息子が一言。
「おかあさん、またちょうだいって云ってる」
それを聞いた私は爆笑してしまった。
エルちゃんはおごられ上手(Episode163参照)であると同時にもらい上手でもあった。やっぱり人間そう簡単に変わるもんじゃない。
Episode169 正しい関西弁教育
Kちゃんは言葉遣いには結構うるさい方だ。元演劇部で標準語もしっかり勉強したし、『ら抜き言葉』や『炎天下の下』などという表現にはしっかりチェックがはいる。

が、変なこだわりも持っている。
こないだも娘が『肉まん』と云ったから「違う『ぶたまん』や」といって直したという。
「そんなんどっちでもエエやんか」と云うと
「アカン。関西に住んでんねんから普段はちゃんと関西弁しゃべらな」と云われてしまった。
「じゃあ何、娘がマックってゆうたら怒る訳?」
「とーぜんや。マクドって云わせるわ」
と笑いながら返事をする。
どこまで本気なんかよーわからんけど、ほんなら東北に引っ越ししたら娘に東北弁しゃべれゆうて怒るんかいな?
自分かってようしゃべらんやろに。
むしろどこに住んでも関西弁にこだわるんが大抵の関西人なんやしね。
Episode173 鳥毛布団?

先日ちょっとEpisodeのネタを提供しようと思って、と云って友人からこんな感じのメールがきた。
絶対、羽毛布団に寝るのは嫌だと断固拒否してきたうちの娘。
中身は羽毛で鳥の羽だと教えたのは確かに私だが……
羽だけが詰まってるというのが理解できていなかったらしく、どこでどう間違えたのか鳥がぎゅうぎゅう詰めにされていると今まで信じていたらしい。
どこからともなく出てくる羽にビビっていた訳がやっとわかった。私のダウンジャケットも怖がるはずだ……
子供って……すごい事考えます。そんな布団あったら私も嫌だ。
なんでそんな恐ろしい誤解がわかったかといえば……
「お母さん……生きてるのが混じってる事ない?」の一言でした。
う〜ん……
(メールの文章はちょっぴり変更させてもらっています)
Episode179 嫌なヤツ
硝はその気になればとってもいい奴にもなれるのだけど、はっきり云って協調性にかける嫌な奴だ。
高校の修学旅行だって「行きたくない」と云って、気管支炎のケがあるのを理由に行かなかった。

その修学旅行は黒姫高原でのスキー。帰りは夜行列車で風日はロクに眠る事ができず、思いっきり寝不足。
スキー板を肩に担いで歩いている時に足を滑らせてカチンカチンに凍った雪道に尾てい骨をしたたかに打ちつけた、とかであんまり楽しい思いをできなかった風日はフラフラしながら家に帰り着き、布団にもぐり込む前に思いたって硝に電話した。
思った通り硝が電話をとる。
その頃、硝と話をする時は文芸部で書いていたリレーストーリーのキャラクター、ジェラードになりきって会話する(男なので女の子がしゃべると非常に柄が悪いんだけど)、という遊びにはまっていた風日はでこう云った。
「今帰ったぞ、バカヤロー!」
ホントはそれだけ云ってサッサと切ってしまうつもりだった。
でもやっぱりちょっと気がひけたっていうか……こんな事やってどう思われるかなー?という迷いがあって受話器を架台に置くのが遅れた。と
「なんや、折角寝付いた頃に電話してたたき起こしたろ思とったのに。今かけてこられたら、電話できへんやんか」
そう、そういう奴だったよな、おまえはっ!
やっぱり予定の科白をしゃべり終えたらサッサと切っちまうんだった。
でも、電話してよかったぜ、でなきゃ寝入りばなをたたき起こされるとこだった。とジェラードなら云いそうな事を呟きながら寝間着に着替えた風日だった。
Episode180 後は任せた?
専門学校で卒業制作のアニメーションを作っていた頃。
卒業式が近くなると、もう普通の授業はなくなっていて、原画や動画・背景を描いたり、セルに色を塗ったり、撮影をしたり……と朝学校が始まる時刻から夜間部の授業が終わって追い出される時刻まで、アニメーション科の生徒達で教室ひとつを占拠して懸命な作業が続けられていた。

夜型人間の多かったアニメ科の人間みんなが早朝から学校にでてきていた訳ではないけれど、ほとんどの学生が夜9時半に守衛さんに追い出されるまで作業をしていたのだ。
そんな風に夜遅くまで学校にいると当然家に帰るまで晩ご飯を我慢するのは辛い。しかも19、20の若者達だ。
で、夕方になると班ごとに(個人制作の他にみっつの班に分かれてグループ制作を作っていた)買いだし部隊が出動する。各人の希望を訊いて代表者がお弁当(いわゆるほか弁というヤツ)を買いに行くのだけど、どういう訳かみんな同じ頃にお腹がすくらしい。
学校近くには弁当屋が一軒しかなかったので、他の班の買いだし担当者が注文を出した直後に買いに行くと、当然長く待たされる。
誰だって待たされるのは嫌だもんねー。と、いう訳である夕方、熾烈(しれつ)なバトルがくり広げられる事になったのだった。
アニメ科御用達の弁当屋にはアニメ科のあるデザイナー専門学校の向かい側に建っていた姉妹校、写真専門学校の校舎を抜けて行くのが近かった。
その日のA班の買い出し部隊はNちゃんとミキちゃんの二人。
のり弁○個、しゃけ弁○個、かきあげ弁当○個といったメモを手にしたNちゃんとミキは、同じ頃出発したB班とC班の買い出し部隊に遅れをとらじと猛然とダッシュ。
が、写真専門学校のリノリウムの床で足を滑らせてNちゃんが転倒。しかし、他班に負ける訳にはいかないと、滑りこけながらも手にしていたメモをミキちゃんにむかって差し上げた。
「後は任せた……」
「わかった!」
と叫んで、メモをひっつかみ、友の屍を乗り越えてゆく伝令兵さながらに後も見ずに走り去っていったミキちゃん。
それを見ていたB班・C班の買いだし担当者は、あまりに芝居がかった有様に笑ってしまって競争どころではなくなってしまったという。
Episode185 かみつくの原稿用紙
中学2年になった春――
新しいクラスで適当に席に着いた。ふと、ひとつおいて前の席に座った見知らぬ女の子が机の上に置いていた下敷きが目に入る。普通ならそんな物が気になる事はないんだけど、風日の視線はその下敷きに吸い付けられた。当時、メガネは必要なかったとはいえ、ちょっぴり視力が落ちかけていた風日にはその下敷きの模様がなんとも異様に映ったのだ。
白地に黒くて細かい不規則な模様がうにゃうにゃとはいっていて、とても気持ち悪い物に見えるのは風日の視力のせいなのか? それとも……?

休み時間、その気になる下敷きの持ち主と言葉をかわした。同じクラスになった訳だからこれからよろしくとかなんとか、ごく普通の会話。でも、その会話の間も風日は下敷きの事が気になっていた。で、訊いてみる事に。
「ソレ、何?」と。
返ってきた答えは
「小説!」
?!
見せてもらった下敷きはごくありふれた物だった。間に紙がはさめる透明のプラスチック。
ただ、間にはさんであったものが異様だったのだ。3ミリのグラフ用紙にびっしりと書き込まれた鉛筆の文字。しかも筆圧が高くて、つぶれかけ、少し字画の多い字はほとんど判別不能ではないかと思われる。(本人でも書いてから時間が経過すると読めないだろう)
それが、風日とかみつくの出会いだった。
今どきのお子さまはどうかしらないが、当時中学生のこづかいでは趣味の小説書きに原稿用紙を使うなんていうのは贅沢な話だった(もちろんワープロなど持っていない)ので、彼女は値段も安く、1ページに書き込める文字数が多いグラフ用紙を愛用している、との事だった。大学ノートだと字数を数えるのが面倒なのだ。
それ以来風日も同人誌用の原稿などはグラフ用紙に書くようになった。もっとも、さすがに3oはつらいので5oグラフを愛用してたけど。
Episode187 寝言?
お母さんが寝ている子供にはだけた布団をかけてあげるとか、奥さんが旦那さんに、っていうのは割と聞くような気がするけど、樹似のところは旦那さんの方が面倒見がよくて、よく寝ている樹似の布団がはだけているのをかけ直してくれるらしい。

その日、樹似はお腹の調子が良くなくて、おならが連続してでるような状態だった。夜布団にはいってからも腸内にガスが発生し続けていた。当然、ため込んでおく訳にいかないから、出す。
樹似の旦那がふと横を見ると寝ている樹似の肩が布団からはみだしていた。で、いつものように布団をかけ直そうとすると、樹似がもぞもぞ動いて抵抗する。どうやら意識があるらしいので
「なんで布団かけ直させへんねん?」
みたいな事を訊くと樹似がもごもごと
「臭いから」と云ったとか。
翌朝、旦那からその話を聞かされた時、樹似は何も覚えていなかった。でも多分布団の中にはおならが充満しているから、布団をかけ直す為にめくられると、その臭いがあがってきて嫌だと思ったんだろう、と云っていた。
しかし、わざわざEpisodeのネタを提供してやるといってこういう話を電話できかせてくれるとは、ありがたいというべきなのか?
Episode188 古い物が好き?

風日の旦那ってば最新機器も好きだけど、カバンとか時計とかは年代物の使い古した感じの物が好きなんだよね。
でも自分で使い込んで味がでるまで待てないんで、わざと乱暴に扱ったり、汚したりしようとする。それでよく失敗するんだけど……。
ジッポーライターを買った時も、うれしいんだけどピカピカのボディが気に入らない。(でも中古の汚いジッポーって、ベトナム戦争で死んだ兵隊さんが持っていたりした――つまり死体から盗まれた――かもしれないなんて思うと気持ち悪くて買えないそうだ)
で、まっさらを買って、ちょっと傷なんかつけてやろうと空き缶を蹴って遊ぶ子供のようにジッポーを蹴りながら道を歩いた。どうなったかって?
真鍮のケースが擦り傷だらけになって、いい感じになった……のはうれしいんだけど、ついでに発火装置も壊れてしまったとか。単に壊れただけじゃなくて小さな部品がどこかにいってしまった。仕方がないから、また新しいジッポーを買って、中味だけいれかえたそうだけど。最初から中味を抜いて蹴ればよかったのにね。(ってそういう問題か?)
Episode189 古い物が好き? 2

うちの旦那は古びた物が好きだ。
そして気に入った物を自分で使い込んでいい味がでるまで待てない性格でもある。
ではどうするか?
強引に古びて見えるようにしてしまおう、とする訳。以前ジッポーライターの革ケースを買った時も……。
まっさら、というのはどうもハクがなくていけない。どうすれば使い古されたように見えるかなー? と考えて、鍋に湯を沸かし、そこへ革ケースを放り込んだ……。
さて、読者の皆さんのなかに濡れた革の臭いが好き、とおっしゃる方はいらっしゃいますか?
風日は嫌いだなー、ウールが濡れた臭いとかさー。旦那がやったような事をした事はないから想像するしかないけど、とにかくヒドイ臭いがしたそうだ。
そして、もちろん、その革ケースは使い物にならなくなりましたとさ。
Episode190 何事?

かみつくがまだ小さかった頃――
夜中に突然
「痛い、痛い……」
と云って、苦しみだした。びっくりした家族は
「どうしたんや? どこが痛いんや?」
とかみつくを囲んで大騒ぎ。とにかく救急車を呼ぼう、と119番に電話しかけたその時――
「どーしたん?」
むくりと起きあがったかみつくがきょとんとした表情で自分の布団のまわりに勢揃いした家族を見て云った。
「どーしたんって、アンタが『痛い、痛い』云うから……」
しかし、その時かみつくには痛いところなどなかった。ただまわりが騒がしいから目が覚めただけ。どうやら、『痛い、痛い』は寝言だったらしい……。
Episode192 同じ毛?

その昔、風呂に入っていたかみつくは髪を洗おうと頭からシャワーを浴び、シャンプーボトルに手をのばした。が、中味は空。
せっかく髪をぬらしたのに、このまま洗わずに終わるのは嫌だと思った彼女は何かシャンプーがわりに使える物はないかと風呂場を見回した。そして目に入ったものは……
ウール・おしゃれ着洗い用洗濯洗剤。ウール→(羊の)毛→髪の毛という連想が働いたかみつくは洗剤の箱を手に取った――。
「で、モノゲン・ユ○で髪を洗った訳?」
「うん」
と返事をしてくれた彼女。他人事だと思ってどうせならリンスがわりに柔軟仕上げ剤を使ってみるくらいの事をしてもよかったのに……なんて考える私。
でも、社会人になってからアトピーになったかみつくはモノゲン・ユニどころか普通のシャンプーリンスでさえ使えなくなってしまった。繊維に合成洗剤が残っていると肌荒れするので、今では洗濯にも純石鹸を使っているらしい。紫外線アレルギーでもあるのに日焼け止めクリームすら濡れなくなったのはひょっとしてモノゲン・ユニの祟り?
Episode198 しょーがない奴
風日の旦那はよくズボンを脱いだ形(ズボンはいて立ったまま上からズズッと縮めていった形)のままほったらかしにしている。夜寝る前とかだと「どーせ明日の朝はくんだろうし」なんて思って風日も放っておく事が多いんだけど、ちゃんとしまわないのにはもうひとつ理由があったりして。
旦那は大抵お金をズボンのポケットにつっこんでいる。だもんでズボンハンガーにぶらさげるとポケットが逆さになって中のお金が落っこちちゃう。
お金抜いておくと出かける時に忘れていくし。
こないだも駅まで車で送ったら、降り際にポケットの中が空なのに気付いてお金を貸さなきゃいけなかった。
こんな事やってるからズボン捨てる時にもお金抜き忘れてあやうくそのまま廃品回収に出しかけたりするんだよー。
Episode205 先程送り出しました
かみつくの勤務先の支店長が代わった。
新任の支店長が初出勤してくる予定のその日、事務所のファックスがこんなメッセージを吐き出した。

「先程○○店長をそちらへ向けて送り出しました。途中で飲んだくれていなければ○時頃にはそちらへ到着するはずです。(以下略)」
それは新支店長の前任地から送られたもの。新支店長はちゃんと予定通りに到着したものの、かなりの〈飲んだくれ〉だという事はすぐに判明した。
まず全社員との個人面談のスケジュールが発表されたのだが、期間がやたら長い。一人30分〜1時間として1日に5〜6人はこなせる、と考えるのが普通なのだが、面談予定時刻が全員閉店前。つまり面談が終わったらそのままいっしょに飲み屋に直行しよう、という魂胆がみえみえなのだ。
ある日の朝礼の時には開口一番こう云った。
「みなさん、今日は有馬記念です。当たったら飲みに行きましょう!」
そして、また別の日には
「みなさん、今日は僕の誕生日です」
プレゼントでも要求するのかと思いきや、それに続く科白は
「……いっしょに飲みに行きましょう」
とにかく、何やかやと理由をつけて飲みに行きたがる。イベント好きでもあるようで店の屋上で花火を見る会、とか「支店長自家製おでんを食べる会」なんてのもあったそうだ。
「これ、食べへんかったらボーナスの査定に響くとか……?」
とは支店長お手製のおでんを手にした時の従業員の科白である。
Episode208 かみつくレポート(Episode205 後日談)

今年の「花火を見ながら飲む会」は、すごいことになった……らしい。かみつくさんはとっとと逃げ出したので、出席した子から聞いたんだが……。
飲んだくれのうえに食道楽で凝り性の店長のこの夏のトレンドは『かき氷』。
それも食べるんじゃなくて、かき氷が作りたくて、かき氷が作りたくて、かき氷が作りたくて……しょうがなかったらしい。
氷かき機をレンタルしてきて屋上に設置。近所の氷屋さんから氷柱1本買ってきて飲みながら1本すべてかき氷にしちゃったんだって。
黒蜜とイチゴのシロップが用意してあったんだけど、しまいにゃかき氷にビールかけたり酎ハイかけたり、とんでもないかき氷食わされた社員続出したんだと。
なんだかな〜、もお。
このページのイラストはすべてHACTIONの霜月楓さんから頂きました